研究課題/領域番号 |
10660007
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥本 裕 京都大学, 農学研究科, 助教授 (90152438)
|
研究分担者 |
井上 博茂 京都大学, 農学研究科, 助手 (40260616)
中崎 鉄也 京都大学, 農学研究科, 助手 (60217693)
谷坂 隆俊 京都大学, 農学研究科, 教授 (80026591)
|
キーワード | イネ / 耐冷性 / 遺伝子分析 / 準同質遺伝子系統 |
研究概要 |
昨年度に引き続きイネ穂ばらみ期耐冷性遺伝子に関する検定系統の作製を進めるとともに、起源が異なる耐冷性遺伝子間の耐冷性発現機構の差異を調査した。耐冷性弱品種きらら397に耐冷性極強品種Silewahから耐冷性遺伝子を導入した準同質遺伝子系統および耐冷性極弱系統EG3に北海道品種はやこがねから耐冷性を導入したCTH5を供試して、冷温処理による稔性障害の差異を観察した。この結果、耐冷性遺伝子の有無に関わらず、冷温処理により葯長は著しく短縮し対照区の葯色が鮮やかな黄色を呈し葯厚が太いのに対して、冷温処理区の葯は色が淡く、葯厚が細くなった。葯長の短縮程度には遺伝子型間差異が認められ、耐冷性遺伝子をもつと考えられる系統では葯長の短縮程度が小さくなった。花粉稔性は耐冷性遺伝子をもつと考えられる系統がもたない系統よりも高い値を示した。したがって、耐冷性遺伝子は花粉稔性だけでなく冷温下における雄性生殖器官の発育全般に対して効果があると考えられた。一方、広島県高冷地研究部の耐冷性検定圃場で実施した耐冷性に関する分離分析の結果、EG3×愛国3号およびEG3×CTH5の交雑F2より、愛国3号とCTH5の耐冷性は少なくとも2遺伝子に支配されていると考えられた。さらに、愛知県山間農業技術研究所の耐冷性検定圃場で実施した耐冷性に関する分離分析の結果、陸羽20号×EG3のF2個体別F3系統では耐冷性強系統が多数観察され極弱個体の分離が著しく少ないのに対して、神力×EG3のF2個体別F3系統では大部分が耐冷性弱系統であり、極弱個体が多数分離するのが認められた。このことから、日本品種の耐冷性向上に寄与した2大系譜、愛国系および神力系の耐冷性遺伝子は、それぞれ優性および劣性遺伝をする可能性が示唆された。
|