1 トウモロコシにおいて分げつ芽の発育の抑制因子として働くtb1遺伝子のイネにおけるホモログが染色体のどこに乗座しているかを調べるための実験を行った。まず、tb1遺伝子のホモログをイネのESTから探しだそうと試みたが、本遺伝子と高い相同性を示すESTはなかった。次に、トウモロコシのゲノムDNAを鋳型としてtb1遺伝子のPCR断片を作製し、あそみのり(ジャポニカ稲)とIR24(インディカ稲)のゲノムDNAを対象にサザン解析を行ったところ、明瞭なメジャーバンドが検出された。また、このバンドは、EcoRVで消化した際にあそみのりとIR24との間に多型を生じるものであることもわかった。このように、tb1のイネホモログは単一コピーとして存在することがわかったので、引き続き、あそみのりx IR24の組み替え自殖系統71集団から抽出したゲノムDNAをもとに、tb1イネホモログの染色体マッピングを行っている。 2 イネの分げつ数を制御する染色体上の領域(Quantitative Trait Locus; QTL)を同定するためのマッピング集団の育成を進めた。具体的には、平成10年度に作った、分げつ数の多いイネ品種と分げつ数の少ないイネ品種の間のF1種子を育て、その稔性を調べた。F1のほとんどがジャポニカ稲とインディカ稲の組み合わせであったため、多くの組み合わせで著しい不稔が生じたが、ごく僅かではあるがF1稔性が80%を越える組み合わせが見いだされた。こうした組み合わせのF2種子を用いることにより、分げつ性を含めた草型のQTLを解析するのに有効な組み替え自殖系統の育成が可能と考えられる。
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