研究概要 |
ツルマメ1系統およびダイズ2品種を含む6種10品種・系統の夏作マメ科作物の幼植物を,畑条件(畑区)および過湿条件(過湿区)で14日間栽培し,地上部乾物重および胚軸(土壌表面直下)における二次通気組織の形成量を調査した.その結果,乾物重比(過湿区乾物重/畑区乾物重X100)はダイズで最も大きく,以下,ツルマメ,ササゲ,ケツルアズキ,リョクトウ,アズキおよびインゲンマメの順であった.二次通気組織は,畑区ではいずれの作物・種の胚軸にもほとんど認められなかったが,過湿区ではダイズ,ツルマメ,ササゲおよびリョクトウの胚軸に明らかな形成が認められた.胚軸横断面あたりの二次通気組織の面積は,ダイズ‘アソアオガリ'の9.77mm^2以下,ダイズ‘アキセンゴク'7.80mm^2,ツルマメ‘D5'4.37mm^2,ササゲ‘三尺ササゲ'2.63mm^2,リョクトウ‘ブンドウマメ'1.97mm^2,リョクトウ‘Acc.7703'1.52mm^2の順で,他の3作物では1mm^2以下であった.中心柱に対する二次通気組織の面積の比も,ダイズはツルマメについで大きく,ダイズにおける二次通気組織の形成能はツルマメと同程度であることが明らかであった.また,乾物重比と過湿区における二次通気組織の面積との間には,1%水準で有意な正の相関関係(r=0.7382)が認められ,二次通気組織の形成能はマメ科作物における耐湿性の強弱と密接に関係していることが明らかとなった. さらに本年は,ダイズの標準的な栽培品種とツルマメの交配を行い, Fl種子を得ており,次年度はこれらの耐湿性と二次通気組織形成能について検討する予定である.
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