まず、アーバンスリンジにおける土地利用と農地景観に関する文献資料の収集整理を行うとともに、札幌市、旭川市、富良野市、帯広市における事例調査を行った。すなわち、人口規模と周辺土地利用状況を異にする4事例調査都市の市街化区域から市街化調整区域にいたるアーバンフリンジを対象に、都市から郊外に延びる代表的な3路線(国道、道道)を選び、ビデオ撮影と一定間隔での写真撮影を行った。また、一部の路線では景観の季節変化を知るために冬季の撮影を行った。現在、路線周辺の土地利用状況を空中写真、現況図などを用いて把握し、ビデオや写真撮影による景観構成要素との関係を分析中である。一方、撮影された多くの写真から100枚を選び、約40名の被験者により、「好ましさ」と「田園らしさ」の心理的評価実験を行い、写真に写る景観構成要素との関係を計量的に把握するために、それらを外的基準とした数量化I類による分析を行っている。また、典型的な農業景観として知られる美瑛地区を比較対象地として選び、道路からのビデオ撮影により景観構成を分析した。また、そのシークエンス景観についての心理的評価実験によって、広がりや展望など空間構成がランドマーク的構成要素とともに評価に強く関連していることを示した。 次に、これまで札幌市北部の平坦地を事例に土地利用の景観的適合性について検討し、農地と住宅地など都市的な土地利用との間の緩衝帯としての樹林の効果を指摘したが、さらに地形的変化のある札幌市南部における調査を行い、より複雑な景観構成下における土地利用の適合性把握の手法について検討中である。
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