研究概要 |
^<13>Cを用いた前年度の研究成果をふまえ、4樹種の成木の枝齢の異なる側枝の基部に環状剥皮処理を施し、果実および枝の肥大を無処理区(対照区)と比較するとともに、プラントキャノピーアナライザを用いてリンゴ'ふじ'の成木内の10本の3年生側枝に着生した果実の肥大と品質とこの3年生側枝、隣接3年生側枝および隣接4年生側枝の光環境との関係を調査し、間接的に側枝単位の炭素収支の季節的動向を調査した。 1.オウトウ、セイヨウナシ、リンゴおよびカキのいずれにおいても、一部の環状剥皮処理区で対照区に較べ果実の最終横径がわずかに大きくなり、逆に枝の最終径が小さくなったが、多くの処理区間あるいは枝齢間には一貫した影響は認められなかった。一部の環状剥皮処理区で果実成長期の極く限られた時期に、対照区に較べ果実の日肥大率が有意に高くなったが、果実成熟期には大きな違いが認められなかった。枝の日肥大率にはほとんどの時期において対照区と処理区の間に有意差が認められなかった。 2.3種の側枝の光環境(プラントキャノピーアナライザによるDIFN_<360,0-74>、DIFN_<S45,0-74>およびGAPS_<S45,16-31>)ならびに3側枝のDIFN_<360,0-74>の平均とBrixやL^*a^*b^*の各色度値との間の相関は、いずれも、調査果実の着生した3年生側枝の光環境>3側枝平均の光環境>隣接3年生側枝の光環境>隣接4年生側枝の光環境の順に高かった。有意な高い相関が認められたものの多くは調査果実の着生した3年生側枝の光環境のDIFN_<360,0-74>と3側枝平均のDIFN_<360,0-74>であった。果径および果重については強風落果のため調査できなかった。 3.上記の結果から、3年生側枝の炭素収支は生育期間を通してほぼ閉鎖経済的であるものと考えられる。
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