都市空間の人工化に伴い、都市内および都市周辺地において、自然とふれ合ったり、あるいは自然を感じたりする機会の提供や場の確保がますます強く求められるようになってきた。そこで、この「ふれあい自然」の保全や整備、管理に関する体系的な空間計画論、特に広域での配置論を構築する上で重要な、自然に対する認識と親しむ活動からみた都市および都市周辺自然の評価の検討が本研究の趣旨である。具体的には、(1)人々の自然認識構造の特徴を明らかにする。つまりどの様な自然が人々に認識されやすく感得されやすいかを明らかにする。(2)自然とのふれあい活動類型と、ふれあい活動の場の立地および形態との関係を明らかにする。(3)これらの議論を踏まえて、ふれあい自然の体系と、居住地を中心とした適性配置モデルについて検討考察する。の3点を研究目的とした。 初年度である今年度は、小学生から高校生までの子どもが描いた、自宅周辺のお気に入りの自然観察路マップを分析し、マップ上に描かれる要素の分析から、子どもが強く認識する動植物、子どもがその動植物を認識する要因について明らかにした。 その結果、認識対象として描画・記述されることの多い動植物については、「鳥」「虫」「草」「木」の4対象種群であり、各年齢層において、この4者で8割を超えることが確認された。また、動植物の認識要因については、物理的諸特性(外見、声・音など6群)、親しみやすさ(関わり体験、接近性など3群)、情報・知識(教育、逸話の2群)、出会いやすさ(量、頻度など3群)の4タイプ14群に分類することができた。そして認識要因は、年齢による差異よりも、対象種群による差異の方が明確であり、認識要因は動植物の種類によって異なることが明らかとなった。
|