都市空間の人工化に伴い、都市内および都市周辺地において、自然とふれ合ったり、あるいは自然を感じたりする機会の提供や場の確保がますます強く求められるようになってきた。そこで、この「ふれあい自然」の保全や整備、管理に関する体系的な空間計画論、特に広域での配置論を構築する上で重要な、自然に対する認識と親しむ活動からみた都市および都市周辺自然の評価の検討が本研究の趣旨である。具体的には、(1)人々の自然認識構造の特徴を明らかにする。つまりどの様な自然が人々に認識されやすく感得されやすいかを明らかにする。(2)自然とのふれあい活動類型と、ふれあい活動の場の立地および形態との関係を明らかにする。(3)これらの議論を踏まえて、ふれあい自然の体系と、居住地を中心とした適性配置モデルについて検討考察する。の3点を研究目的とした。 今年度は、首都圏における自然とのふれあい活動の場に関する調査から、一般的にどのような特性を有した場所が自然とのふれあい活動の場として利用されているかを検討し、さらに主要な活動類型別に分析を行った。 その結果、活動の場として、居住地周辺、学校、市街地内オープンスペース、都市公園、自然型公園、水辺、農地、樹林、神社・寺、草地、山、市街地公共施設、レクリエーション施設、自然歩道など、その他の15タイプの場が得られた。そして、この結果を踏まえて、ふれあい活動の日常性の程度との関係から居住地を中心としたふれあい自然の適性配置に関する空間計画論のあり方について考察検討を行った。
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