イチゴ「宝交早生」のクラウン組織から抽出したペクチンを、エーテル処理後セルロースチューブで透析して高純度化した。得られたペクチンにメチル化BSAおよびOVAと結合させて抗原とした。BSAあるいはOVAと結合させた抗原および無結合の高純度ペクチンをマウスの腹腔内に接種した。接種は初回後1および2週間の合計3回、それぞれマウス1匹あたり0.2mlとした。MoAbs(抗体)は脾臓細胞と骨髄細胞を融合したハイブリドーマから作成した。ドットプロットテストにおいて、メチル化BSAペクチンで免疫化した血清において1/40希釈で弱く反応した。しかし、1/320および1/640では反応が見られなかった。また、OVAおよび無結合ペクチンでは抗原抗体反応が全く認められなかった。融合によりペクチン抗体を分泌した8つのハイブリドーマが得られた。すなわち、2つはlgG1タイプに属するものであり、残りの6つはlgMタイプであった。この3タイプを滴定したが、lgG1は1/4希釈でもっとも強く反応したが、1/128希釈までペクチンを認識した。一方、2つのlgMは弱い反応しか示さなかった。以上の実験から抗原抗体反応は認められたが、目的とする花芽分化診断法への応用には不十分な反応であったため、Ca^<2+>濃度を一定にしてNa^+濃度を変化させた条件で反応させた。その結果、lgG1では1/100と1/200の間、lgMでは1/200と1/700の間でペクチンを認識した。このことから、Na^+の存在がCa架橋による分子間結合を阻害し、その結果ペクチンが単離し、抗体に認識されなかったと考えられた。
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