研究概要 |
ニホンナシ栽培種が中国や朝鮮半島から持ち込まれたものなのか、ニホンヤマナシなどの在来野生種の改良によるものなのか、そしてそれらがどの程度品種形成に寄与しているか分子レベルでの検討を行った。まず母系的な類縁関係を調査するため、葉緑体DNAに注目しrbcL-psaA,rbcL-psbB両領域をPCRで増幅し、制限酵素で消化するPCR-RFLP法にてニホンナシを中心とするナシ属植物の類縁関係を調査した。その結果、ニホンナシ栽培品種は、2つのグループ(A,B)に大別され、Aのグループには大半の品種が、Bグループには一部の品種が類別された。またBグループには朝鮮、中国産品種も類別され、現在のニホンナシの品種形成に大陸産ナシ属植物の影響がみられることが判明した。さらに果実成熟関連遺伝子の解析より、ニホンナシ及びセイヨウナシには発現がみられるものの、チュウゴクナシには発現が認められない遺伝子(JPR-OMT)の存在が明らかになり、今後、類縁関係の解明に有効な分子プローブとなりうることを明らかにした。
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