研究概要 |
ダッチアイリス'ブルー・マジック'りん茎の茎頂よりRNAを抽出し,Poly Tプライマーを用いてcDNAを合成,PCRにより増幅して,DD法により遺伝子発現の解析を行った.これまで,低温感応性が認められず幼若期にあると考えられるエチレン処理を行っていない小球(9g球)の茎頂のみに発現していた遺伝子の特異的PCR産物(CG-01)に関して,りん茎の花熟との関連を明らかにした.まず,1999年産の高温経過前のりん茎の茎頂では,CG-01の発現量は大であり,大球(17g)でもわずかに発現が確認された.しかし,エチレン処理を行った直後の茎頂では,大球,小球ともCG-01の発現はみられなくなった.低温処理後に開花率を確認したところ,小球では0%,大球でも33%と低く,CG-01が発現していたりん茎茎頂は幼若期にあったことがうかがえた.そこで,夏を経過した後の小球を用いて,3'RACE法によりCG-01の3'末端側塩基配列を決定しようとした.その結果,400bp付近にCG-01の塩基配列から合成したプライマーとアダプタープライマーの両者で増幅されたPCR産物が検出された.しかし,この塩基配列をCG-01の塩基配列と比較したところ,別の遺伝子のものであった.夏を経過すると,幼若期にある小球でもCG-01の発現が消失することが予想された.
|