研究課題/領域番号 |
10660038
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研究機関 | 九州東海大学 |
研究代表者 |
小松 春喜 九州東海大学, 農学部, 教授 (60148971)
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研究分担者 |
國武 久登 九州東海大学, 農学部, 助教授 (80289628)
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キーワード | キイチゴ / プラックベリー / 果実の成長 / 集合果 / 植物ホルモン / オーキシン(IAA) / ジベレリン / ABA |
研究概要 |
キイチゴについて栽培上の基礎資料を得るため、プラックベリー'ボイソン'の果実の成長を調査すると共に、果実中の植物ホルモンを分析することによって、それらの変化と果実の成長との関連を考察した。 その結果、集合果の成長は開花から開花後16日まで急激に肥大する果実成長第I期、その後開花後40日まで緩慢な成長を示す果実成長第II期及び成熟時まで再度急激な肥大を示す果実成長第III期に分けられ、典型的な二重S字型成長曲線を示した。一方、個々の小果の成長は第I期に急激に肥大し、その後は成熟期までほぼ一定の割合で肥大する傾向を示した。 果実中の植物ホルモンを分析した結果、オーキシン(IAA)含量は、集合果の成長旺盛な第I期と第III期では低い値を示し、成長の緩慢な第II期では極めて高い値を示した。集合果中のジベレリン(GA)様物質の活性については、矮性イネ苗による生物検定の結果、11〜12画分、14〜15画分及び17〜19画分に高いGA活性が認められた。そこで、これらの画分より果実中の総GA様物質の活性をGA_3当量として示したところ、果実成長の第I期と第II期では極めて低い値を示し、再び果実が成長する第III期に急激に増大する傾向を示した。一方、ABA含量については、GA含量とは逆に開花直後に高く、第I期の間に急激に低下し、第II期では低い値を示した。しかしながら、第III期には成熟期に向かって再び増大する傾向を示した。これらの結果から、果実成長第III期にみられる果実の成長にはGAが、果実の成熟にはABAが関与していることが推察された。一方、オーキシンは成長の緩慢な第II期に高いピークを示したことから、種子の硬化に関与していることが示唆された。
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