研究概要 |
ブラックベリー'マートン'における結果母枝上の発生位置の異なる結果枝について,開花期,成熟期,果実の大きさなどを比較した.また,果実の成熟と呼吸量及びエチレン発生量との関係について検討した.その結果.開花から成熟までの日数には両結果枝間に差は見られなかったが,結果母枝の上半部発生結果枝では,同下半部発生結果枝に比べ長さが短く,開花期も成熟期も早かった.花数は,上半部発生結果枝に比べ下半部のそれらで有意に多かったが,逆に着果率は有意に低かった.果実の大きさは,下半部発生結果枝に比べ上半部のそれらで有意に高い値を示した.したがって,結果枝当たりの果実収量も上半部発生結果枝で多かった.これらのことが,ブラックベリー'マートン'の開花期間や果実の収穫期間が長い要因であることがわかった.また,果実のCO_2発生量は,集合果当たりでは果実の成長第I期と第II期では大きな変化は見られなかったが,完熟期には急激に増大した.重量当たりで見ると,開花時で最も高く,その後成熟まで低下し,完熟期にやや増大する傾向を示した.一方,エチレン発生量については,開花から開花後40日までは全く検知されなかったが,果実のCO_2発生量と同時期の開花後48日より完熟に向け急激に増大した. さらに,ラズベリーの暖地性園芸品種の育成を目的として,ラズベリーに数種の野生キイチゴとブラックベリーを種間交雑した.その結果,いずれの組合せからも種子が得られ,ブラックベリーの'マートン'を除き,実生を育成することができた.これらの実生の倍数性をフローサイトメーターで解析したところ,野生種を交雑して得られた実生は二倍体,ブラックベリーを交雑して得られた実生は三倍体と推定された.なお,RAPD法よりDNAを解析したところ,いずれも雑種と確認された.
|