本研究では、幼若ホルモン(JH)依存性転写因子の同定へのステップとしてエクダイソン(20E)依存性転写の分子機構を探るべく、蚊を材料として種々の転写関連因子のクローニングを試み、一部の因子の関してはその機能解析を行い、以下の結果を得た。 1.Bx42、GCN5、TBP、CBP、MBF1ホモログのクローニングを行い、前3者に関しては完全長のクローニングと配列の解析を行った。 2.哺乳類培養細胞とショウジョウバエ培養細胞を用いて、20E応答配列を持つluciferaseレポーターコンストラクトをtransfectionし、20Eあるいはそのanalogを培地に加えることにより、レポーター活性が上昇する系を作製した。 3.2.の実験系を用いて、Bx42については哺乳類細胞とショウジョウバエ細胞の両方の系で、GCN5に関しては哺乳類細胞の系での20Eシグナリングに対するコアクティベーション効果を検討し、程度は強くないものの、両者とも20E依存的な転写におけるcoactivatorとして作用することを示した。 4.Mammalian two-hybrid assayを用いて、Bx42、GCN5とecdysone receptorとのタンパク・タンパク相互作用を検討し、両者とも弱いながらも、EcRと相互作用することを確認した。 5.EGFPとのfusion protein発現コンストラクトを作製して哺乳類細胞にtransfectionすることにより、Bx42は核に局在化することを確認した。
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