研究課題/領域番号 |
10660050
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高木 正見 九州大学, 農学研究院, 教授 (20175425)
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研究分担者 |
津田 みどり 九州大学, 農学研究院, 助手 (20294910)
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キーワード | 伝統的生物的防除 / ヤノネカイガラムシ / ヤノネキイロコバチ / ヤノネツヤコバチ / 寄主-寄生者系 / 個体群動態 / 導入天敵 / 寄主体液摂取 |
研究概要 |
・ヤノネカイガラムシと2種の寄生蜂の生活史をもとに、多化生性の寄主-寄生者系のモデルを構築し、生物的防除における害虫と天敵の多化性の意義について考察した。 ・従来から継続している福岡県古賀市の放任温州ミカン園での定期調査を継続した。一方、農林水産省果樹試験場カンキツ部(口之津支場)の無防除温州ミカン園での定期調査を開始した。この温州ミカン園は日本で最初に2種の寄生蜂が放飼られ、寄生蜂放飼後20年経過した現在でも、ヤノネカイガラムシは低密度に安定していることが明らかになった。 ・黒皮カポチャで簡便に飼育できるヤノネキイロコバチの代用寄主ヤシシロマルカイガラムシの累代飼育法を確立し、ヤノネキイロコバチ室内個体群を周年維持できるようになった。 ・過去の分析では、2種の寄生蜂の寄生率の算出に寄生蜂脱出済みの寄主を加えた場合と加えてない場合があった。そこで、データファイルの統一を計るために、既入力データのチェックと修正を行った。 ・ヤノネキイロコバチの生涯の寄主体液摂取は1雌当りわずか平均5寄主で、本種の天敵としての有効性から見たとき、寄主体液寄主摂取は、寄主を殺すということからみればあまり効果がないが、雌成虫の卵成熟のためには重要であることを明らかにした。また、ヤノネキイロコバチは、産卵は主に未成熟成虫に対して行うが、寄主体液摂取は2齢幼虫と未成熟成虫に対して同等に行うことも明らかにした。
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