研究課題/領域番号 |
10660050
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
植物保護
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高木 正見 九州大学, 農学研究院, 教授 (20175425)
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研究分担者 |
津田 みどり 九州大学, 農学研究院, 助手 (20294910)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2001
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キーワード | 伝統的生物的防除 / ヤノネカイガラムシ / ヤノネキイロコバチ / ヤノネツヤコバチ / 寄主一寄生者系 / 個体群動態 / 導入天敵 / 導入天敵のリスク |
研究概要 |
伝統的生物的防除の基礎理論を確立するための事例研究として、ヤノネカイガラムシの生物的防除の目的で中国から導入されたヤノネキイロコバチとヤノネツヤコバチに焦点を当てて研究を進めた。まず、2種の寄生蜂の生態学的特性のうち、天敵としての有効性の評価に必要な項目で、これまで明らかにされてなかったいくつかの特性について研究を進め、従来の知見とあわせて考察した。その結果、2種の生態学的特性は、天敵としての有効性から見ると相補的であり、2種の寄生蜂を組み合わせることで、より効果の高い生物的防除の結果が得られると示唆された。 次に、2種のうちいずれか1種だけを導入した園でのヤノネカイガラムシの個体群動態を解析した結果、それぞれを単独で導入した場合でも、ヤノネカイガラムシの個体群密度は著しく低下した。しかし、ヤノネキイロコバチの次にヤノネツヤコバチも定着した園では、ヤノネカイガラムシの個体群密がさらに安定した。このことから2種の併用の優位性が野外でも示された。また、寄生蜂導入園でのヤノネカイガラムシ個体群動態の分析から、ヤノネカイガラムシの密度低下が、寄生蜂の効果であることを明らかにした。 一方、ヤノネキイロコバチとヤノネツヤコバチが寄生可能な土着カイガラムシ類について、これまでの知見を検討した結果、導入寄生蜂2種の生態系へのリスクはほとんど問題ないと考えられた。さらに、奄美大島の寄生蜂導入園でのヤノネカイガラムシ個体群動態の分析から、奄美大島は本土よりも冬が温暖で、未成熟成虫や2齢幼虫が死亡せずに、その結果、越冬世代の齢構成が年次によって変動するので、ヤノネカイガラムシと寄生蜂の動態の年次変動が大きくなる傾向にあることを明らかにした。このことから、日本本土のカンキツ園でも、地球温暖化の影響で冬季の寒さが緩和されると、ヤノネカイガラムの個体数変動が激しくなると予測された。
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