研究概要 |
昨年度取得した交配不完全性(asexual)な子のう菌Fusarium oxysporumの交配遺伝子(MAT)領域の構造をheterothallicな(正常な交配能を有する)近縁種Gibberella fujikuroiと比較した。その結果、両種のidiomorph上には相同の遺伝子(MAT1-1-1,MAT1-1-2,MAT1-1-3;MAT1-2-1)がコードされており、塩基配列の相同性も高いことが明らかとなった。さらに、F.oxysporumのすべてのMATの発現がRT-PCRにより確認された。一方、Alternaria alternataの両idiomorph上にはそれぞれ一つづつの(MAT1-1-1;MAT1-2-1)の遺伝子がコードされていた。両idiomorphwo含むMAT領域をA.alternataからそれぞれクローン化し、heterothallicなCochliobolus heterostrophusの正常な交配型遺伝子を除去した株(ChMAT-0)に導入してヘテロロガスを発現させた。A.alternataのMAt領域を導入した株(ChMAT-0{AaMAT1-1-1}およびChMAT-0{AaMAT1-2-1})は、それぞれ、C.heterostrophusの交配テスターとの間で交配し、完全世代を形成した。また、ChMAT-0{AaMAT1-1-1}×ChMAT-0{AaMAT1-2-1}の交配でも子嚢殻の形成が確認された。この結果により、asexualなA.alternataのMAtの機能性には問題がないことが示された。 以上の二種のasexualな子のう菌に関する結果は、両種がasexualdearu原因がMATの機能不全ではなく、MAT領域以外にあることを強く示唆した。
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