研究課題/領域番号 |
10660055
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
蜷木 理 東京農工大学, 農学部, 助教授 (30291347)
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研究分担者 |
横山 岳 東京農工大学, 農学部, 助手 (20210635)
黄色 俊一 東京農工大学, 農学部, 教授 (80015081)
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キーワード | カイコ / 分散行動 / 拡散係数 / 孵化直後幼虫 / 老熟幼虫 / 遺伝 |
研究概要 |
カイコ孵化直後幼虫の暗中での分散性に関し、強く分散する系統と分散しない系統との交雑F_1にこのいずれかの親を戻し交雑したBF_1区における分散行動を測定し、拡散係数を求めた。約20蛾区の結果は、いずれの区においても理論比どおりの1:1に分離していると認められるものはなく、拡散係数も一定ではなかった。そのため、分散性に関し特徴があるとした4系統について蛾区毎の分散性を測定したところ、分散性は蛾区間でも大きな差異を示し、それぞれの系統内においてもかなり大きな変異が存在することが明らかとなった。これらのうち、系統内の変異が比較的小さいものとしては分散性強系統では拡散係数が8.74〜15.97のc440、弱系統では拡散係数が0.11〜0.32のN71(大造)があげられた。c440系統で拡散係数が15.97であった蛾区の個体とN17系統のうち拡散係数が0.19であった蛾区の個体とを交雑したF_1における蛾区別の拡散係数は0.49〜0.86となり、拡散係数から見た変異はこれまでの交雑におけるF_1に比べて大幅に小さくなっていた。現在、交雑BF_1区を採種したところである。 分散性に関わる遺伝子支配機構を解析するためc440とN17系統において孵化直後幼虫の分散性と老熟幼虫の分散性について比較した。老熟幼虫の分散性においてもc440の分散性がN17より高い傾向にあったが、各蛾区における孵化直後幼虫の拡散係数の順位と老熟幼虫の拡散係数の順位は必ずしも一致することはなく、孵化直後と老熟期では分散行動に関係する遺伝子は同一ではないと推察された。
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