研究概要 |
植物のカドミウム(Cd)の耐性は、これまではファイトケラチンの生成能力と関連していることが報告されている。しかし他の機構も考えられる。我々はニンジン培養細胞のCd耐性株を用いて研究を行った。20〜80μM Cd処理したCd耐性株の特性を野生株のそれと比較した。 1 ファイトケラチンは耐性株の方が少なかった。 2 Cdの吸収抑制能力は特に培地中にCa(0.2〜10mM)が存在する時に耐性株の方が強かった。 3 Cdの排出能力は圧倒的に耐性株の方が親株よりも高かった。20〜80μM Cd前処理細胞(耐性株)はいずれも同じ割合で排出した。 4 Cdがある時に耐性株のCu,Zn-スーパーオキシドヂスムターゼ(Cu,Zn-SOD)の1つのアイソザイムだけが、活性を増加した。 これらの事から、Cd高濃度環境で耐性株の生育が可能なのは、Cdの吸収抑制、排出と高いCu,Zn-SOD活性と関連すると考えられる。
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