研究概要 |
新たに植物のカドミウム(Cd,重金属)耐性を提案した。方法はニンジン細胞の野生株とCd耐性株の性質を比較した。前者は40μM Cdまでしか生育できなく、後者は160μMのCdでも生育できた。 第1の新規耐性機構は、Cd障害の解除に関連する活性酸素の解毒システムが寄与していると推察された。その根拠は活性酸素の解毒システム、特にアスコルビン酸/グルタチオン回路が、ニンジンのCd耐性株の方が野生株より高い活性を持っていることである。この結果は昨年度えたものを本年度整理して、公表したものである。 第2は、取り込んだCdを外界に排出する能力である。これは、Cd耐性株が野生株より顕著である。すなわち、Cd蓄積は、野生株の場合には時間の経過によって増加した、逆に耐性株の場合には1日以降減少したことを示した。両株のCd蓄積が違う原因を調べるためにCd20,40,80μM Cdを含む培地で1日間処理し、Cdなしの培地に移植し、4日間にわたって細胞と培地中のCd含量を測定した。野生株では20μMのCd処理の初期段階でのみCd排出が見られた一方、耐性株では全処理区で持続的にCdを排出した。耐性株は強いCdの排出力により細胞内の低いCd含量を保つことができ、その結果、高濃度のCdに耐えることができると考えられた。ただしCd吸収抑制も同時に起こっているかも知れない。
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