ニンジン細胞のCd耐性株は高いCd処理でも生育する。それはCdを(1)吸収しない、(2)吸収後排出する、(3)液胞に隔離する以外に(4)Cd障害で発生する活性酸素を解毒機構が耐性株に強かったかもしれない。過去には(3)がわかっているが、その他は不明である。まず、(1)と(2)を各種阻害剤とイオノフォアを用いて明らかにする。耐性株のCd含量が低かった。耐性株のCd吸収はプロトンポンプの阻害剤により影響を受けないことから、ポンプの性質が変化していると思われる。排出はナイジェリンに抑制されることから、プロトンポンプが関与していることを示唆する。 耐性株では、Cd存在下でもグルタチオン還元酵素とアスコルビン酸過酸化酵素活性が維持した、しかし非耐性株ではこれらの酵素活性は激減した。それゆえ、(4)の機構も働いていると考える。しかし、過酸化水素耐性株とメチルビオノゲン耐性株は必ずしもCdに耐性を持つわけではない(3回の実験のうち1回のみがCd耐性を示した)。今後、活性酸素耐性と重金属耐性のクロス耐性があるか否かを明確にする予定である。
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