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1998 年度 実績報告書

植物のアルミニウム障害における脂質過酸化の関与ならびに防御機構

研究課題

研究課題/領域番号 10660060
研究機関岡山大学

研究代表者

山本 洋子  岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (50166831)

キーワードアルミニウム毒性 / アルミニウム耐性 / エンドウ / グルタチオン / グルタチオンペルオキシダーゼ / 脂質過酸化 / タバコ培養細胞 / 根
研究概要

土壌中のアルミニウム(Al)は、土壌の酸性化に伴って溶出し、植物根の伸長阻害や壊死等を引き起こす主要な作物生育抑制因子であるが、Al障害の分子機構は不明である。AlがFeや過酸化水素(H_2O_2)に依存して脂質過酸化反応を促進することは人工膜やタバコ培養細胞の系で明らかになっていることから、本研究では、植物根(エンドウ)におけるAl障害の分子機構に脂質過酸化が関与する可能性について解析した。なお、内在性のFeやH_2O_2とAlとの相互作用が考えられるため、本年度は、Alのみをカルシウム溶液中に添加した処理を行った。Alのみの24時間処理においても脂質過酸化を生じ、そのAl濃度依存性は、伸長阻害や細胞死と同様であった。さらに、脂質過酸化はAlの集積とほぼ同じタイムコースで増加した。以上の結果から、脂質過酸化はAlに対する初期障害の一つであると思われる。しかし、脂質過酸化を抑制する抗酸化剤を用いた解析により、脂質過酸化は伸長阻害や細胞死の原因ではないことも明らかにした。
次に、Alが促進する脂質過酸化に対する耐性機構の解明を目的に、脂質過酸化の抑制ならびに修復に関わると考えられる細胞内グルタチオン(GSH)量とグルタチオンペルオキシダーゼ(GSHP)活性について、Al耐性タバコ培養細胞株ならびに親株を用いて比較検討した。Al耐性細胞株のGSH含量は親株と同程度であった。一方、粗酵素液中のGSHP活性をH_2O_2もしくはt-ブチルヒド口ペルオキシドを基質にして検討した結果、Al耐性細胞株は親株の3倍以上の高い比活性を示した。このようなGSHP様活性は、従来、植物にはみられなかったものであり、大変興味がある。なお、Al耐性細胞株のカタラーゼの比活性は親株と大差なかった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Yamamoto,Y: "Phenylpropanoids as a protectant of aluminum toxicity in cultured tobacco cells." Plant Cell Physiol.39. 950-957 (1998)

  • [文献書誌] Ikegawa,H: "Cell death caused by a combination of aluminum and iron in cultured tobacco cells." Physiol. Plant.104. 474-478 (1998)

  • [文献書誌] Chang,Y-C.: "Enhancement of callose production by a combination of aluminam and iron in suspension-cultured tobbaco (Nicotiana tabacum) cells." Soil. Sci. Plant Nutr.in press.

  • [文献書誌] Yamaguchi,Y.: "Protective effect of glutathione on the cytotoxicity caused by a combination of aluminum and iron in suspension-cultured tobacco cells." Physiol. plant.in press.

  • [文献書誌] Chang,Y-C.: "Accumulation of aluminum in the cell wall pectin in cultured tobacco (Nicotiana tabacum L.) cells treated with a combination of aluminum and iron." Plant, Cell & Environment. in press.

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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