ジャワ島西部の赤黄色土の心土(深さ17〜46cm)の粘土画分に、X線回折図のMg飽和風乾処理で15.51Åを示し、グリセロール処理で19.21Åに膨潤し、K飽和で12.81Åから11.95Åに回折線が続き、550℃の加熱処理で9.83Åに完全に移行し、通常のスメクタイトの特徴と異なる特異な鉱物の存在が示された。 その粘土画分から粗粘土(粒径2.0-0.2μm)と細粘土(粒径0.2μm以下)を採取し、対照粘土として、粘土鉱物組成が既知の前兼久:月布(1:1)混合粘土、前兼久:棚原(1:1)混合粘土を調整した。各粘土について、DCB処理、1/3Mクエン酸ナトリウム液処理、5M水酸化ナトリウム液処理を行い、X線回折分析法で鉱物同定を行い、各処理液中の元素(Si、Al、Fe)分析をICP発光分析法で行った。 粗粘土画分と細粘土画分のスメクタイト様鉱物は、DCB処理後のX線回折図ではMg飽和とグリセロール処理による膨潤度合とが前者で若干大きく、また、K飽和と加熱処理による回折線の移行収縮も見られず異なった。それらの特徴と対照試料のX線回折図の特徴との比較から、特異なスメクタイト様鉱物はスメクタイトと他の鉱物との混合層鉱物からなり、粗粘土画分のほうが他の鉱物の結晶度合は強いことが示唆された。層間物質を溶出するクエン酸ナトリウム液の18時間、42時間処理後、およびカオリン鉱物を溶出する水酸化ナトリウム液の1回、2回処理後の粗粘土と細粘土は、前者の処理ではDCB処理後の細粘土のX線回折図にほぼ類似する特徴を示し、後者の処理では混合層を形成する他の鉱物はほとんど溶出され、いずれもケイバン比2以下のカオリン鉱物の特徴を示唆した。これらのことから、スメクタイト-ハロイサイト混合層鉱物の可能性が示唆された。
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