(1)IspUパラログの機能解析 枯草菌内にはIspUと、特にC末端部分で高い相同性を示す蛋白質(パラログ)が他に6種存在することが、ゲノム解析の結果から明らかになっている。これらパラログ中にIspUと同様の機能を持つものが存在することを考え、各遺伝子の破壊株を作製してσ^H因子により転写されるkinA発現に対する影響を調べた。その結果yojH遺伝子を破壊した場合にのみ、ispU欠損変異と同様の表現型を示すことが明らかになった。またispU yojH二重変異株では、各単独変異の場合と比べてkinA発現がより大きく低下しており、2つの変異の効果が加算的に見られた。以上のことから、IspUとYojHはσ^H活性化過程において同一の機能をしていることが示唆された。 (2)IspUと相互作用する蛋白質の解析 抗IspU抗体をCNBr-activated Sepharoseに固定化したカラムを用いて、枯草菌抽出液からIspUを精製すると、分子量32kDaと30kDaの2つの蛋白質が共に精製された。この現象はispU欠損株の抽出液では見られなかった。これらの蛋白質のN末端アミノ酸配列を決定したところ、30kDa蛋白はYojHであり、32kDa蛋白はIspUパラログのRsbRであることが明らかになった。このことからIspU及びYojHは互いに、そして他のパラログとも相互作用することが示された。 以上の結果から、IspUとYojHは枯草菌内で相互作用し、σ^H因子の活性化に何らかの形で関与することが示された。
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