Aspergillus oryzaeの菌体の自己消化の際に活性化され、菌体内の核酸分解酵素活性の主要な部分を占めるnuclease Oの生理的役割を解明するために、遺伝子破壊株を作成した。クローン化したnucleasc O遺伝子(nucO)の中央にアルギニン生合成系の遺伝子argB^+を挿入し、A.oryzae argB^-株のプロトプラストを形質転換することによってArg^+株を選択した。この形質転換株20株をSouthern解析にかけ、相同組み換えによって遺伝子破壊の起こったと判定されるもの6株を得た。これらの6株では、菌体内のnucleasc O活性がほぼ0になっていた。nucO破壊株は、固体培地上および液体培地中で正常に生育したので、nuclease Oは、菌の生育には必須でないと判断した。一方、液体浸透培養で生育させた菌体を集め、蒸留水に懸濁してトルエンを加えて自己消化させた場合には、野生株にくらべて、遺伝子破壊株の核酸分解溶出が約半分に低下したので、nuclease Oは自己消化時の菌体内核酸の分解に主要な役割を果たすことが確認できた。
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