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1999 年度 実績報告書

麹菌の菌体内ヌクレアーゼの生理的役割に関する遺伝生化学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 10660075
研究機関明治大学

研究代表者

魚住 武司  明治大学, 農学部, 教授 (40011978)

キーワードヌクレアーゼ / インヒビター / 阻害蛋白質 / コウジカビ / Aspergillus / アポトーシス
研究概要

麹菌(Aspergillus oryzae)の菌体内には、DNAとRNAの両者を基質とするヌクレアーゼOとその特異的阻害蛋白(インヒビター)が存在し、両者はKi=3.2x10X^<-12>で強固に結合し不活性体となるが、麹菌の培養の長期化に伴う菌体の老化、あるいは酸素欠乏による菌体の自己消化の際には、プロテアーゼの作用によってインヒビターが分解され、ヌクレアーゼが活性化される(T.Uozumi et al.,J.Biol.Chem.,251,2808(1976))。本研究では、この現象をふまえ、麹菌の菌体内におけるヌクレアーゼの生理的役割を解明することを目的として研究をおこなった。
ヌクレアーゼOについては、すでにその遺伝子のクローン化を報告したが(M.Sano et al.,Curr.Genet.,30,312(1996)),今回その遺伝子を破壊した株を作成したところ、この変異株は、野生株とほぼ同様の生育を示したので、この酵素は麹菌の生育にとって必須ではないことが示唆された。また、麹菌の菌体内には、上記インヒビターによっては阻害されないヌクレアーゼが存在することを認め、これを精製してヌクレアーゼQと名付けた。本酵素はDNAとRNAに作用し、至適pHは8-9であり、塩基特異性を示さずエクソ型の分解を行い、切断産物の3'末端に燐酸をのこす。
動物細胞のアポトーシスの際にDNAの分解が促進される機構として、caspaseによって活性化されるDNase(CAD)とその特異的インヒビターICAD(Inhibitor of caspase-activated DNase)が最近注目されている。ヌクレアーゼOとそのインヒビターの物理的性質がこれらと類似しているので、麹菌のアポトーシス様の現象とヌクレアーゼの関係について今後さらに研究する必要があると考えられる。

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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