研究課題/領域番号 |
10660077
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
渡邉 剛志 新潟大学, 農学部, 教授 (10201203)
|
研究分担者 |
野中 孝昌 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (30242457)
|
キーワード | キチナーゼ / キチン吸着ドメイン / FnIIIドメイン / Bacillus circulans / 触媒反応機構 / 立体構造 |
研究概要 |
本研究はキチナーゼによる結晶性キチンの分解メカニズムを解明することを最終的な目的として、不溶性キチン分解活性が高いBacillus circulans WL-12のキチナーゼA1のドメインの構造と機能を明らかにしようとするものである。平成11年度の研究により以下のような成果が得られた。 (1) 触媒部位の構造と触媒反応機構 キチナーゼA1の活性ドメイン(CatD)の基質及び阻害剤との複合体の立体構造から、本酵素が(-5)〜(+2)のサブサイトを持ち基質の還元末端側から分解することが明らかとなった。さらに、サブサイト(-1)位に結合した基質や阻害剤の構造と部位特異的変異やアフィニティーラベルの実験から、本酵素の触媒反応機構がSubstrate-assisted catalysisであることが明らかとなった。また、(GlcNAc)_6分解の解析から、オリゴ糖を非還元末端側から分解すると推定された。一方、β-キチン微少繊維は還元末端側から分解された。これらの結果から、オリゴ糖と結晶性キチンで分解の方向性が異なる可能性が示唆された。 (2) キチン吸着ドメインの吸着機構とタイプIII様ドメインの性質 キチナーゼA1のキチン吸着ドメインChBD_<ChiA1>のNMRによる立体構造解析に成功し、その構造と性質の詳細な解析によって、このキチン吸着ドメインが、セルロースドメインなどでこれまで提唱されている機構と異なるユニークな吸着機構を持つ事が明らかとなった。また、フィブロネクチンタイプIII様ドメイン(FnIII_<R2>)の発現系の構築に成功し、このドメインが不溶性キチンとまったく相互作用しないことを明らかにした。このドメインの機能を明らかにするため、現在NMRによる立体構造解析が進行中である。
|