研究課題/領域番号 |
10660078
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
森川 康 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (50239638)
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研究分担者 |
平山 令明 東海大学, 開発工学部, 教授 (70238393)
野川 優洋 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (10283037)
岡田 宏文 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70233343)
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キーワード | トリコデルマ・リーセイ / セロビオハイドロラーゼII / エンドグルカナーゼE2 / エキソ型セルラーゼ / エンド型セルラーゼ / 構造活性相関 / 蛋白質工学 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
昨年度は、糸状菌T.reesei由来のセロビオハイドロラーゼII(CBH II)にエンド型機能を持たせることを目的に、CBH IIの2カ所のループをT.fusca由来エンドグルカナーゼE2型に置換した変異体遺伝子を構築し、分裂酵母S.pombeで発現させたが、変異体の三次構造が大きく変化したと推察され、発現量が極端に低下しプロテアーゼによる分解も認められた。一方、ホモロジーモデリングによって変異体酵素の構造を推定した結果、C末ループ側はループにあるS-S結合の位置などに若干の変化は起こっていたが、活性残基周辺の構造もよく保持された予想通りの構造をとっていることが判明した。 今年度はこのC末ループを置換したキメラ体をT.reeseiと同じ糸状菌A.oryzaeの宿主ベクター系を用いて発現させたが、発現量はわずかに向上したもののCBH II活性は認められなかった。これらの相反する実験結果を検討する目的で、上記S-S結合の2カ所のCysをAlaに置換した変異体の造成・発現を試みたが、S.pombeでは全く発現しなかった。これらの結果から、変異体の立体構造形成過程(folding)が大きな課題であると推定された。また、CBH IIのサブサイトの変異によるエンド型への変換を試みた。セルロースの非還元末端が結合するS2位にはセルロース鎖の進入をブロックしていると推定されるアミノ酸残基(Glu399とAsp137)が存在する。そこで、これらの残基を小さなAla残基に置換させた変異体遺伝子を構築し、S.pombeとA.nigerで発現させた。これらの変異体の発現量もかなり低下し、宿主によっては発現しない変異体も生じ、folding以外の分泌系との関連性も推定された。現在、これら発現した変異体の基質切断様式を解析している。 今後、foldingおよび発現宿主(T.reesei等)を考慮しながら、エンド型機能を有する新規な結晶セルロース分解酵素の造成を目指していく予定である。
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