研究概要 |
システイニルグリシナーゼ活性を持つペプチダーゼのうち、アミノペプチダーゼA,NとジペプチダーゼDについては、これまで様々な研究がなされているが、残りのアミノペプチダーゼBについては精製酵素の性質についても全く研究がされていなかった。 昨年度、ロイシンアミノペプチダーゼ活性を指標として、精製過程で金属イオンを添加せずにペプチダーゼBを単離し、補欠金属イオンの分析を行った。ペプチターゼBはMn^<2+>によって活性化されるが、本精製酵素はZn^<2+>をMn^<2+>の10倍以上含有していた。しかし、ペプチダーゼBのサブユニット100コにつき数個しかZn^<2+>が入っていない結果であった。通常、金属ペプチダーゼは精製過程でも補欠金属イオンを失うことはないが、この酵素は精製段階で活性を急激に低下させることと併せて、金属イオンを弱くしか結合していないものと考えられた。 そこで、今年度はpmal-c2ベクターにアミノペプチダーゼB遺伝子を挿入し、細胞質内にマルトース結合タンパクとプロテインフュージョンした形でアミノペプチダーゼBを発現させ、無細胞抽出液からアミロースカラムを用いて1段階の精製により、マルトース結合タンパク融合アミノペプチダーゼBを得、含有金属イオンの分析を行った。本標品の比活性は0.14U/mgと昨年度の標品の30倍近くの比活性があったにもかかわらず、Zn^<2+>とMn^<2+>の含有量はほぼ同じで、Zn^<2+>もMn^<2+>もサブユニット100コにつき数個ずつしか入っていなかった。よって、本来この酵素が含有している補欠金属が何かと言うことは結論づけられないが、含有金属イオンが周りの環境によって簡単に変化することから、その環境に応じて酵素活性も変化しているものと考えれられる。
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