研究概要 |
1.大腸菌K-12株においてシステイニルグリシナーゼ活性を持つペプチダーゼは、基質特異性が広いとされるアミノペプチダーゼA,B,NとジペプチダーゼDであり、これら以外にシステイニルグリシナーゼがないことを明らかにした。また、これら4つのペプチダーゼ欠損株はシステイニルグリシンをシステイン源とはできないが、いずれか1つがあるとシステイニルグリシンをシステイン源として生育できることを示した。 2.これら4つのペプチダーゼのうち、これまで精製酵素について研究の行われていなかったペプチダーゼBについて調べた。ロイシンアミノペプチダーゼ活性を指標として、ペプチダーゼBを単離し、その酵素的諸性質を調べた。本酵素は金属ペプチダーゼであるであり、2価カチオンで飽和した状態に微量の別の2価カチオンを加えるとさらに活性化された。調べた範囲でシステイニルグリシン最も良い基質であった。 3.グルタミン酸アナログである新規なアフィニティーラベル化剤を用いて、γ-グルタミルトランスペプチダーゼの活性中心残基を探った。修飾後、酵素をHPLCにより大サブユニットと小サブユニットに分け、さらにリシルエンドペプチダーゼによるフラグメンテーションの後、MS-MS分析を行い、小サブユニットN末端のThr残基が活性中心であることを本酵素で初めて明らかにした。その結果、本酵素がNtnヒドロラーゼであることが強く示唆された。
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