研究概要 |
Pseudomonasイソアミラーゼはマルトテトラオース、マルトトリオースによって競争阻害されることが知られているので、マルトテトラオースを使って基質アナログとの複合体結晶の調製を試みた。ネィティブ結晶を10mMのマルトテトラオース液に5時間浸漬したものを試料としてX線回析実験に供した。X線回析実験はSPring-8兵庫県ビームライン(BL24XU)で行った。複合体の解析はネィティブ結晶の解析で得られたモデルを用いて分子置換法により行った。分子置換法によって得られた解に基づいて差フーリエ合成を行い、電子密度に対してグルコース残基の位置の検索を行った。グルコース残基及び水分子の検索と構造精密化を繰り返し、最終的に活性クレフト近傍に合計4個のグルコース残基の位置を見いだした。グルコース残基4個と水分子526個を含んだ1.8・分解能での構造精密化の結果、結晶学的R値は20.1%、R free値は26.3%になった。見いだされたグルコース残基の中で最も還元末端側に存在するものはTyr250とスタッキング相互作用する位置にあり、他のα-アミラーゼファミリー酵素におけるサブサイト-1に相当している。また、他のグルコース残基もそれぞれサブサイト-2〜-4に相当していることが確認できた。一方、+1位に相当するグルコース残基は電子密度上から確認することはできなかった。α-1,4-グルコシド結合を加水分解するタイプのα-アミラーゼファミリー酵素の基質あるいは基質アナログとの複合体との構造比較から、Leu376とGlc(+1)の04との間で立体障害が生じ、α-1,4-グルコシド結合を加水分解する基質結合様式をとることが困難であることが推測された。このことからLeu376がイソアミラーゼの基質特異性を決定を左右する残基であると推測できる。
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