[目的]マクロファージが産生するTNFは、活性を有するII型の膜蛋白質として細胞表面に出現した後分泌されるが、そのプロセシングの詳細には不明な点が多い。先に我々は、76残基から成るTNF前駆領域中の膜貫通領域の一部が、シグナルペプチドとして機能し得ることをin vitro-小胞体膜通過系を用いて示した。本研究では、この領域が細胞レベルにおいてもシグナルペプチドとして機能し、膜局在化を介さず活性を有する成熟型TNFを生じ得るか否かを検討した。 [方法、結果]TNFの成熟領域の直前に、TNF前駆領域中の膜貫通鋤域のN-末端側半分(14残基)を融合させた変異蛋白質cDNAをCOS-細胞で発現させたところ、17kDaの成熟型TNFの効率良い分泌が認められ、その分泌量は野生型pro-TNF cDNAのトランスフェクタントでの分泌量の5〜7倍に達した。この分泌型TNFのL929細胞に対する細胞毒性ならびにヒト末梢血好中球に対するプライミング活性は、rhTNFのそれとほぼ同程度であった。 これらの結果より、膜結合型腫瘍壊死因子の膜貫通領域の一部は、細胞レベルにおいてもシグナルペプチドとして機能し、膜局在化を経ることなく生物活性を有する成熟型TNFを効率良く分泌させ得ることが明らかになった。
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