研究概要 |
1. 好熱菌B.thermoglucosidasius KP1006のDnaKタンパク質の大量発現・精製 DnaKタンパク質の大量発現・純化は大腸菌を宿主にして行った。純化したDnaKタンパク質は、単量体だけでなく、2〜4量体を形成したものが相当量あり、大腸菌のDnaKが2量体であることと異なった結果が得られた。DnaKタンパク質の機能の一つであるATPase活性は、精製の進行とともに弱くなることから、他のGrpE,DnaJタンパク質との相互作用による活性化が考えられる。また大腸菌のDnaKで言われているADPによる活性化は、本菌由来のDnaKでは観察できなかった。 2. DnaKタンパク質と相互作用を有し、細胞形態異常を誘導する遺伝子の検討 酵母のtwo hybrid systemにより、大腸菌の細胞分裂に関与するFtsZ、FtsAタンパク質とDnaKタンパク質の相互作用を検討した。DnaK遺伝子の様々な領域をtwo hybrid systemの一方のプラスミドにつなぎ、もう一方のプラスミドに全長のFtsZまたはFtsA遺伝子をつなげ、酵母を形質転換した。DnaK/FtsAではいずれも相互作用は検出できなかったが、DnaK/FtsZでは、全長のDnaKに対してのみ相互作用の存在を確認することが出来た。このことは、特にDnaKタンパク質のN-末端領域とFtsZが相互作用することが示唆された。それから、大腸菌の染色体DNAで作成したライブラリーに対して、DnaKタンパク質と相互作用を持つクローンを選択したところ、2つだけ陽性を示すクローンを得ることが出来た。現在これらのクローンについて、その遺伝子の同定を行っているところである。
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