枯草菌competenceの制御の中心的制御分子はComKである。ComKはMecA、ClpCと複合体を形成し不活化されている。ComXやPhrCによる細胞密度感知型制御でComAが活性化され、comS転写が起き、ComSが複合体からComKを解離させ活性化する。さらに、2成分制御系DegS-DegUのレスポンスレギュレーターDegUの非リン酸化型がcomK転写を正に制御し、さらに翻訳後に脂質修飾される可能性がある事がわかっていた。そこで、Medとアルカリフォスフォターゼの融合体を用いた実験と、Med抗体による分析を行い、脂質修飾されたMedの細胞膜外側表面への局在がわかった。ウエスタンとノーザン分析の結果、med変異株ではComKが有意に減少していた。med変異の効果はdegS欠損より回復し、このことはMedがDegUリン酸化を負に調節している事を示唆した。つまり、DegUリン酸化を抑制する分子がMedにより取り込まれていると考えられる。近年、2成分制御系を特異的フォスファターゼ(Rap)とその阻害ペプチド(Phr)が制御する鈴が報告された。さらに、センサーキナーゼをPhrペプチドが阻害する例も知られている。そこで、枯草菌ゲノムからDegUリン酸化を抑制するPhrを検索した。高濃度のPhrGペプチドはaprE転写を抑制し、comK発現を増大させたので、多コピーphrGがDegUリン酸化を抑制している事も強く示唆された。さらに、遺伝学的分析によりRagG-PhrGの標的が、DegS-DegUであることを示した。また、RapG-PhrGが、RapC-PhrCと同様にComAのリン酸化を制御することも明らかにした。
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