研究概要 |
1.L-LDH群における研究 L.caseiのアロステリックL-LDHに関しては、非リガンド結合型の酵素の結晶について、2.4ÅまでのX線データの収集を終了した。現在、既に立体構造解析に成功しているL.pentosusの非アロステリック型L-LDHをモデル分子として、引き続きデータの解析作業を進行中である。また、L.casei L-LDHのリガンド結合型酵素の結晶化にも成功し、現在そのX線データの収集を開始している。一方、酵素学的解析から、L.pentosusとL.caseiの両L-LDHともに、高いMDH活性を備えていることが明らかとなリ、さらに部位指定アミノ酸置換による解析から、これらの酵素の101位に存在するPro残基が、こうした高いMDH活性を与えている一因であることが示唆された。 2.D-ヒドロキシ酸脱水素酵素群における研究 E.faecalis菌株から、2種のD-マンデル酸脱水素酵素(D-MDH)の精製に成功し、その性質を比較検討した。各酵素の分子量は、それぞれSDS電気泳動で32,000と40,000、またゲルろ過で120,000と140,000と見積もられ、いずれも4量体酵素であることが示された。また、これらの酵素はいずれもベンゾイル蟻酸、フェニルピルビン酸などの芳香族2-ケト酸以外に、2-ケトイソカプロン酸や、2-ケトカプロン酸などの、長鎖の脂肪性側鎖をもつ2-ケト酸に対しても高い活性を示した。一方、高活性、高安定性が報告されているParacoccus12-A株の蟻酸脱水素酵素(FDH)の遺伝子クローニングに成功し、その塩基配列を決定した。この遺伝子にコードされているアミノ酸配列は、既知のPseudomonas属のFDHのそれと約80%の相同性を示した。
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