L..pentosus由来の非アロステリック型L-LDHのホロ酸素の2.3Å分解能構造モデルを精密化し、その構造に、本酵素の非アロステリック特性に関与する可能性が考えられる。新規なサブユニット間相互作用の存在を見出した。L.casei由来のアロステリック型L-LDHについては、2.4ÅまでのX線回折データの収集を行い、現在L.pentosusL-LDHをモデル分子として構造の精密化を行いつつある。これら2種のL-LDHについて基質特異性を解析した結果、2種のL-LDHがいずれも共通して高いリンゴ酸脱水素酵素活性を持つことを見出した。さらに、部位指定変異による解析を通して、その広い基質特異性の一因が活性中心ループ上に保存されているPro101残基にあることを明らかにした。一方、金属イオンを活性化因子とするという、L.caseiL-LDHと共通した性質を示すE.faecaliのL-LDHの遺伝子クローニングに成功した。その塩基配列解析の結果、本L-LDHがLcaseiL-LDHと特に高いアミノ酸配列相同性を示し、得られたL.pentosusL-LDHの構造をもとにアミノ酸配列を比較すると、金属結合部位と考え得る部位も示唆された。一方、L.pentosusのD-LDHにおいては、Asn97の置換解析により、D-LDHなどのD-ヒドロキシ酸脱水素酵素では、主鎖構造の一部が基質結合と触媒反応の促進に直接関与していることが示された。また、蛍光光学的解析から、本酵素の補酵素と基質の結合順序がランダムに近いことが示された。これらの点はいずれもL-LDHのものとは大きく異なる特徴である。加えて、高活性、高安定性が報告されているPra coccur12-A株の蟻酸脱水素酵素(FDH)の遺伝子クローニングと、その大腸菌における高発現系の構築に成功し、そのタンパク工学的な解析系を確立した。また、E.faecalis1株からのD-マンデル酸脱水素酵素(D-MDH)の精製法を確立し、その結果、本株には、2種の異なった分子量をもつD-MDHが存在することを明らかにし、これらの酸素学的性質を解明した。
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