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1998 年度 実績報告書

進化工学的・タンパク質工学的手法による酵素の低温適応化

研究課題

研究課題/領域番号 10660101
研究機関東京理科大学

研究代表者

百瀬 春生  東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (30219993)

研究分担者 田口 精一  東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (70216828)
キーワード進化工学 / 実験室内進化 / タンパク質工学 / 低温適応 / ランダム突然変異 / スクリーニング / 酵素活性 / アミノ酸置換
研究概要

本研究は、酵素の人為的「低温適応化」を目的とし、主としてプロテアーゼ(サチライシン)をモデルに進化工学的手法により、これまでに低温下で天然型の活性に優る進化型酵素を多数取得してきた。それら進化型サチライシンのうち、10℃において野生型の2倍の活性を獲得したm-63変異体の変異遺伝子を解析した結果、275アミノ酸残基のN末端から72,92,131番目の変異点中、131番目のアミノ稜であるGlyからAspへの置換がもっとも低温適応化に寄与していることが明らかになった。そこで本年度は、この残基に着目し、同部位におけるランダムアミノ酸置換をPCR法を用いて行い、さらなる低温高活性体が取得できるかどうか、タンパク質工学的にテストすることにした。その結果、GlyがPheに置換されたとき10゚Cにおける活性が最大になり、野生型の2.5倍を記録した。3つの変異点中の他の2点から切り離したこの変異点のみをもつシングル変異体での置換実験で、取得された19種の変異体(G131X)の活性測定の結果は、F(2.0),M,R(1.7),H,W(1.5)N,S(1.4),A,K,Y(1.3),D,E,I,T,P,Q(1.2),L,V(1.1)であった(かっこの中の数字は野生型を1としたときの相対活性を示す)。この結果から、131番目のアミノ酸残基はその側鎖の大きさが大きいほど、また分極率が高いほど、比活性が高い傾向が見られた。この部位は基質結合部位の近傍に位置していることから、アミノ酸置換により立体構造が変化し、低温下での基質結合に影響を与えていると推定される。同時に、この部位はCa結合部位であり構造安定化に関与していることから、Ca結合能に影響し柔軟性を変化させていると考えられる。また他の変異点の中に、シングル変異体にすると活性低下の方向に働くにもかかわらず、3点共存すると最高活性をもたらすものが存在することから、低温適応化には正と負からなる複数の変異点の組み合わせによって実現する場合のあることが分かった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 百瀬春生: "進化工学とは?-21世紀のバイオテクノロジー" アカデミア(Academia)全国日本学士会誌. 173号. 45-55 (1998)

  • [文献書誌] Seiichi Taguchi: "Engineering of a cold-adapted protease by segueutial random mutagenesis and a screening system" Appl.Environ.Microbiol,. 64(2). 492-495 (1998)

  • [文献書誌] Naoyuki Yamamoto: "Classification of L : helveticus strains by immumological differences in extracelcular proteinases" Biosci.Biotech.Biochem.62(6). 1228-1230 (1998)

  • [文献書誌] Seiichi Taguchi: "An endogenous target protease, SAM-P26, of SSI : Primary structure, enzyrnatic characterization, and its interactiou with SSI" J.Biochem.124(4). 804-810 (1998)

  • [文献書誌] Yoshiaki Miyota: "Quantitatire assay system for specific enzyme activity using antibody : the case of protease,subtilisin BPN'" J.Biotechnology. 66. 157-163 (1998)

  • [文献書誌] Seiich Taguchi: "Identification of a structural geue eucoding a metallothionein-Like domaiu that includes a putative regulatorprotein" Biosci.Biotech.Biochem,. 62(12). 2476-2479 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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