研究概要 |
糖鎖を抗原とする自己免疫疾患に関与する分子として、2群の化合物群が見出されている。1群は神経系に存在する超微量ガングリオシドであり、本年はそれらの分子のうち、Lacto-ganglio-1 [GalNAcβ1-4(NeuAc2-3)Galβ1-3GlcNAcβ1-3(Galβ1-3GalNAcβ1-4)Galβ1-4Glc]及び Lacto-ganglio-2[GalNAcβ1-4(NeuAc2-3)Galβ1-3GlcNAcβ1-3(GalNAcβ1-4)Galβ1-4Glc]の化学合成に成功した。本合成では、Galの3位にGlcNAc,4位にGalNAcを持つ3糖構造の合成が鍵であったが、アミノ基の保護基を工夫することで解決することができた。 もう1群は、カンピロバクター変異株が持つリポ多糖で、非還元末端にガングリオシド様構造を持つ。本年は、ミラーフィッシャー症候群の発症との関連が示唆されている糖類[NeuAcα2-8NeuAcα2-3Galβ1-3Hepα1-3(Glcβ1-4)Hep]の全合成に成功した。本合成では、Galβ1-4Hepへの更なるHepの導入が鍵反応であったが、糖供与体、糖受容体における保護基として立体障害の少ない置換基を用いることで解決した。
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