コウモリカズラ(M.dauricum)培養根の生産するストライガ(Striga hermonthica)の発芽刺激物質の精製を行った。活性物質をXAD-4に吸着させ、メタノールで溶出し、溶媒留去後、酢酸エチルで回収した。その後Sephadex LH20、C18 SEP-Pak Cartridgeを用いて精製し、最終的にHPLC分取により単離した。これらの過程で、活性はコンディショニングしたストライガ種子を用いた生物検定により測定した。その結果、3種の発芽刺激物質を見出した。このうち最も高い活性は、HPLCでストリゴールと同じ位置に溶出された。また、分取された画分のUV吸収スペクトルはストリゴールおよびストリゴール類縁体のソルゴラクトンの文献値ときわめてよく似ていた。マススペクトルはストリゴールの文献値とよく似た開裂パターンを示した。以上から、コウモリカヅラ培養根の生産する主なストライガ発芽刺激物質はストリゴール、またはストリゴール類縁体であると考えられた。 本研究の結果、非宿主植物のコウモリカズラ培養根がストリゴール、またはストリゴール類縁体を生産していることが明らかになった。新規な発芽刺激物質の発見には至らなかったが、ストリゴール類が植物の代謝産物であることを初めて明らかにした。
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