研究概要 |
オジギソウ(Mimosa pudica)を外部から投与した化学物質で刺激することにより,動物の神経や筋肉と類似した植物の応答としての電位変化(インパルス)を発生させ,これを指標としてこのようなインパルス発生物質を広く天然から見い出すための簡便な生物試験法を開発した。この試験法を用いて,これまで植物抽出物中から数種類の活性物質を得てきた。 平成10年度は,主としてマメ科ネムノキ(Albizzia julibrissin)の葉のメタノール抽出物に含まれる本活性成分の探索をおこない,すでに活性成分として得ている環状アミノ酸の1種である5-ヒドロキシピペコリン酸以外に,新規化合物であると考えられる活性成分の構造について検討してきた。この化合物は比較的極性は低いが,非常に不安定で,単離しても冷所,溶液状態で徐々に分解するので,保存ができず取り扱いが難しい。しかし,平成10年度新たに採取したネムノキから,構造解析できる程度の活性成分を単離・精製し,その構造と生理作用について検討中である。現在,分子量と部分構造についての情報を得ている。 また,スクリーニングの結果,他のマメ科植物のメタノール抽出物中にも強いインパルス発生物質か含まれることがわかった。そのうち沖縄に自生しているギンネム(Leucaena glauca)の活性成分について,その数十キログラムから分離・精製をおこない,ほぼ単離の目途がたち,構造の解明を目指している。
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