研究概要 |
1. モンパノキからマダラチョウのメスの摂食刺激物質の単離 モンパノキの小枝を蒸留水で抽出後、得られた水抽出物をスジグロカバマダラのメスに対する摂食刺激活性を指標にゲルろ過およびシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分画し、スジグロカバマダラのメスに対して強い摂食刺激活性を示す塩基性の画分を得た。この塩基性の画分をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分画し、4種のピロリチジンアルカロイド(1-4)を単離した。化合物1-4の構造を分光分析学的常法を用いて、それぞれ3'-acetylindicine(1),indicine(2),3'-acetylindicine N-oxide(3),indicine N-oxide(4)と決定した。 2. マダラチョウのメスに対するピロリチジンアルカロイド(1-4)の摂食刺激活性 沖縄に棲息する4種のマダラチョウ(スジグロカバマダラ、リュウキュウアサギマダラ、カバマダラおよびツマムラサキマダラ)のメスに対する1-4の摂食刺激活性試験を行った結果、スジグロカバマダラに対して4に、リュウキュウアサギマダラに対して3および4に、ツマムラサキマダラに対して1-4に、それぞれ摂食刺激活性が観測された。カバマダラに対してはいずれの化合物でもその活性が観測されなかった。 3. マダラチョウのメスのピロリチジンアルカロイドの摂食量 マダラチョウのメスに対するピロリチジンアルカロイドの摂食量を調べた結果、摂食刺激活性が観測された3種のマダラチョウとも摂食限度量は4±0.5mgであることが分かった。 摂食限界量が判明したので次年度以降から、3種のマダラチョウのメスに個々のアルカロイド4摂食させて、それがどのように代謝または蓄積されていくかを調べる。
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