1.リュウキュウアサギマダラの雌によって摂取しされたピロリチジンアルカロイドの行方 リュウキュウアサギマダラの雌に対して強い摂食刺激活性を示した3'-acetylindicine N-oxide(3)をリュウキュウアサギマダラの雌に摂取させて、3がどのように代謝されていくかを摂食1日後、2週間後および4週間後と経過を追って調べた。リュウキュウアサギマダラの雌は3を摂取後すぐに吻を体の上部になすり付ける行動が観察され、摂取したアルカロイあるいはその誘導体を体の表面に塗っていることが予想された。 そこで、リュウキュウアサギマダラの雌が3を摂取後、1日後、2週間後および4週間後に胴体部と羽部との分け、胴体上部をメタノールで濯いだ。その後、胴体部を胴体上部、胴体下部に分け、濯ぎ液、胴体上部、胴体下部および羽部について3の代謝の経時変化を調べた。その結果、(1)体内に摂取された3はそのほとんどが胴体上部においてindicine N-oxide(4)へと加水分解されて、そのまま胴体下部で蓄積されていることがわかった。化合物3から4への加水分解はin vitroでは起こりにくいので、リュウキュウアサギマダラの雌の体内で3から4への加水分解が起こっていることは興味ある結果である。(2)リュウキュウアサギマダラの雌が3を摂取後すぐに胴体上部になすり付けていた化合物は摂取した3であることがわかった。化合物3はそのまま胴体上部表面に蓄積され続けていることもわかった。 2.モンパノキから新規ピロリチジンアルカロイド(5)の単離と構造決定 モンパノキから3および4を単離精製中に、新たに6'-methylindicine N-oxide(5)を単離した。 リュウキュウアサギマダラの雌におけるピロリチジンアルカロイドの代謝・蓄積が明らかになったので、他の2種のマダラチョウのメスについても同様に調べる。
|