研究概要 |
中国産バンレイシ科植物爪馥木(Fissistigma oldhamii)及び山椒子(Uvaria purpurea)からバンレイシ科アセトゲニン類の単離を試みた。まず爪醸木(Fissistigma oldhamii)の乾燥葉1.3Kgをメタノール抽出後得た残さをクロロホルム:水=1:1に分配し、クロロホルム層の濃縮残さをさらにヘキサン:90%メタノール=1:1に分配した。90%メタノール層を濃縮後残さを酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を炭酸水素ナトリウムで洗った。上記ヘキサン層、酢酸エチル層、水層についてバンレイシ科アセトゲニン類に特徴的な不飽和ラクトンの発色試薬であるKedde試薬などを用いてアセトゲニン類の検出を行ったが、いずれのフラクションも顕著な発色を示さなかった。次に山椒子(Uvaria purpurea)の心材部(2.3Kg)及び乾燥葉2.2Kgを同様にメタノール抽出し、抽出残さを順次へキサン、トルエン、酢酸エチル、n-ブタノールと水で分配した。各フラクションについて殺ブラインシュリンプ活性を指標として活性物質の検索を行ったが、顕著な活性は認められなかった。しかし、上記酢酸エチルフラクションの弱アルカリ洗浄後得た濃縮残さを薄層クロマトグラフィーで分離したところ、シクロヘキセン環を有する化合物zeylcnol,zeylenoneが得られた。後者は未知物であり、抗菌活性及び植物生長抑制活性を示すことが分かった。このことについては日本農芸化学会1997年度大会(講演要旨集 p265)において報告した。以上のように、両植物からのバンレイシ科アセトゲニン類の単離にはこれまでのところ成功していないが、現在さらに検討中である。
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