研究概要 |
1.ブドウポリフェノールオキシダーゼの精製実験 タンパク質に結合するフェノール化合物を酸化するポリフェノールオキシダーゼをSephadex G-100等のカラムクロマトグラフィーを用いて精製し,それらの酵素化学的性質を調べた。ブドウポリフェノールオキシダーゼの分子量は約40kDaで,至適pHは6.3であった。 2.ブドウ及びワインタンパク質の混濁形成に関する実験 前年度の実験から,セミヨン種ブドウにタンパク質が多いことが明らかになったので,セミヨン種のブドウ果実から果汁,フリーランワイン及び醸しワインを調製した。これらに含まれるタンパク質を硫安塩析法及びSuperdex 75 HRカラムを用いたHPLCにより分離した。HPLCの溶出液を分取した結果,果汁とフリーランワインでは純度90%程度のタンパク質画分が得られたが,醸しワインでは55%程度の糖が含まれていた。 これらのタンパク質画分を電気泳動で分離し,試料間の違いを調べた。果汁とフリーランワイン間では類似していたが,醸しワインは他と異なっていた。 これらのタンパク質試料を用いて,混濁形成実験を行った。タンパク質画分の水溶液にセミヨンブドウの種子から50%エタノール抽出により調製したフェノール画分を混合し,12時間反応後,遠心分離により混濁を形成したタンパク質を除去した。上清をHPLCで分離し,混濁形成前後のタンパク質の違いを比較した。その結果,タンパク質の種類により混濁形成に対する感受性に違いがあることが明らかになった。
|