1.ヒトのER-60プロテアーゼ(ER-60)遺伝子を用い、2つある活性中心の両方あるいは片方ずつのシステイン残基をアラニンに換えた変異遺伝子を作製し、大腸菌で大量発現させ、リコンビナント変異タンパク質を精製した。これらの変異ER-60の活性測定により、2組のCGHCモチーフの両方のC末端側のシステイン残基が独立して活性基として機能することを明らかにした。 2.in vivoで会合することが示されていたリゾチームとER-60の特異的相互作用を表面プラズモン共鳴装置を用いて解析し、カイネティックパラメータを算出した。また、小胞体分子シャペロンとER-60との分子間相互作用を検討し、BiP、calreticulinおよびPDIがER-60と相互作用することを見出した。ER-60との相互作用のカイネティクスから、それぞれの分子シャペロンがER-60に対し異なる親和性を有することを明らかにした。 3.BiPのER-60との会合部位は、BiPのポリペプチド結合部位とは異なることを明らかにした。 4.動物培養細胞COS-1で異常タンパク質を発現させ、その生成量に依存してその後の運命が異なることを示した。すなわち、異常タンパク質が高濃度存在すると不溶性の塊を形成し分解されずに小胞体に蓄積するが、ある濃度以下では分解されることを明らかにした。分解の特性からER-60などの小胞体局在性のプロテアーゼが関与することを示した。
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