研究課題/領域番号 |
10660132
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
中山 勉 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (50150199)
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研究分担者 |
熊沢 茂則 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (10295561)
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キーワード | hydrogen peroxide / HPLC / ECD / electrochemistry / analytical chemistry / SOD / catechins / EGCg |
研究概要 |
本年度は抗酸化物質のうち、茶に含まれるカテキン類の自動酸化過程で生成する過酸化水素濃度をHPLC-ECD法で定量した。EGCg溶液を静置すると、インキュベート時間、EGCg濃度、温度、pHに依存して、過酸化水素の生成量が増加した。4種のカテキン類を同じ条件でインキュベートすると、EGCg≒EGC>>EC>ECgの順に過酸化水素の生成量が多かった。これはEGCgおよびEGCのB環であるgallyl基が過酸化水素生成に関与し、没食子酸エステルであるgalloyl基は関与していないことを示唆している。そこで、gallyl基とgalloyl基を持つ単純なモデル物質であるpyrogallolと、gallic acidおよびそのメチルエステルをインキュベートし、過酸化水素の生成量を比較した。その結果、pyrogallol>>gallic acid>gallic acid methyl esterの順で過酸化水素が生成し、上記の考え方が妥当であることを確認した。またSODをEGCgあるいはEGC溶液に加えると、SOD濃度に依存して、過酸化水素の生成量が低下した。これはO_2を連鎖媒体としたEGCgとEGCの連鎖的酸化反応により、過酸化水素が生成することを示唆している。 4種のカテキン類の細胞毒性をチャイニーズハムスターV79細胞を用いたコロニー形成法で調べたところ、EGC>EGCg>>EC>ECgの順に強かった。次にEGCあるいはEGCgと同時にカタラーゼやSODを培地に加えたところ、どちらの酵素もEGCやEGCgの細胞毒性を抑制した。したがって、EGCやEGCgの細胞毒性に過酸化水素が関わっていることが明らかになった。SODの抑制効果が過酸化水素生成量の低下によることが、その定量結果から裏付けられたことは、今後これらのカテキン類のin vitro実験系での作用機構を考える上で重要と思われる。
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