昨年度、ショウガ根茎から抽出、単離した11種のジンゲロール関連化合物についてDPPHラジカル捕捉効果、食品系評価モデルとして水-アルコール系におけるリノール酸自動酸化に対する抑制効果および油均一系におけるリノール酸メチルの加熱・強制通気酸化に対する抑制効果を比較検討した。その結果、各化合物の活性の強さは測定系によって異なり、側鎖アルカン部分の炭素数や置換基の種類が活性に影響を与えることが示唆された。本年度、その結果をふまえて同様の現象が他の化合物群でも起こり得るかを調べるため、数種のフェルラ酸関連化合物を用いて検討した。まず、芳香環の置換基の異なる各種ケイ皮酸の活性を測定した結果、ラジカル捕捉活性およびリノール酸メチルの自動酸化や加熱強制通気酸化に対する活性はコーヒー酸>シナピン酸>フェルラ酸>p-クマル酸の順であり、油均一系における抗酸化性はラジカル捕捉活性に依存していた。一方、不均一系でのリノール酸の自動酸化に対しては、フェルラ酸の活性が最も強くラジカル捕捉活性に必ずしも依存しないことがわかった。次にジンゲロール関連化合物と同じ活性部位4-hydroxy-3-methoxyphenyl基を有するアルキルフェルレートの活性を調べた結果、アルキル基の炭素数の違いはラジカル捕捉活性や油均一系における抗酸化活性には影響を及ぼさないが、不均一系であるリノール酸に対する抗酸化活性にはあきらかに影響を与え、ジンゲロール関連化合物における実験結果を支持した。ショウガには芳香環の置換基の異なる種々のジンゲロール関連化合物およびジアリールヘプタノイド類が存在するので今後これらの抗酸化活性やリポソーム系酸化抑制効果を測定し、構造と活性の関連性について解明していく。
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