本研究はクローナル植物であるチマキザサの生理的統合を野外調査および野外操作実験、室内操作実験の3つから実証した。 被陰と地下茎切断を組み合わせた野外操作実験は、被陰されても明るい所と地下茎が繋がっていることによって、現存量の低下が抑制されたことを明らかにした。これは光合成生産物が地下茎を通じて暗い林内部分(地上稈や地下茎)に転流されていることを示唆している。安定同位体窒素(^<15>N)を用いた2つの室内操作実験は窒素が地下茎を通じて離れた別の地上稈に転流されていることを明らかにした。これは草本植物だけでなく竹・ササ類(チマキザサ)においても生理的統合が存在することを初めて見い出したものである。
|