昨年度開発した、「ニューラルネットワークを用いたワーヤーダの適正架橋位置決定法」による集材作業分析を進める過程で、機械の大型化が必ずしも生産性向上につながらないことが明らかにされてきた。本年度の研究では、手法をもとに作成した最適架線密度式を、従来より使用されている「路網密度式」と組み合わせ、連続的に路網(架線)密度を推定する式を作成した。また、タワーヤーダ導入機械サイズに適合した路網(作業道網)密度を決定するための手法として、これらの式を投入エネルギー量(導入機械の出力)最小とする式へ変換する試みを進めた。研究では、過去の測定結果から100例のタワーヤーダ集材データを作成し、機械出力と作業功程の関係式作成を進めた。この結果、導入機械出力をパラメータとする式が作成され、小型集材車両、タワーヤーダともに、最適密度は、機械サイズの増加にともなって単調に減少する傾向を持つことが明らかにされた。特に、機械出力が25から100PSに変化する間に必要路網密度が急激に減少する傾向が認められており、林内路網を設計するための目標値として有効に活用できることが明らかになった。さらに、昨年に引き続き、中、小型タワーヤーダを対象とした現地作業測定を進めた。その結果、強制降下式搬器の利用は、作業負荷の軽減と作業生産性の向上につながるが、現在使用されている無線式の強制降下式搬器は、構造的な欠点を持つことが明らかにされた。現在、模型搬器により新型強制降下式搬器の検討を進めており、2種の模型搬器による力学的な検討と実験が進められている。
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