1.宇都宮大学船生演習林タワーヤーダ集材地の基礎調査を行った。この調査では、タワーヤーダ(リョウシンタワーヤーダRME-200T、RME-300TC)による集材作業時の荷吊りワイヤー引き出しに要する張力、木寄せ時の張力、作業索の張力変化等の測定を行った。さらに、数種類の搬器を用いた実作業の時間観測、索引出負荷の測定を行った。これらのデータの分析を行った結果、強制降下式搬器を用いることによって索引出に必要な力が20から50%減少し、作業負荷の軽減と作業生産性の向上につながることが明らかにされた。 2.次に、多様な条件に対応した作業功程推定法としてパターン分類器C4.5を利用した手法を提案し、船生演習林を対象とした作業功程の推定を行った。この結果、車両系機械による集材では、木寄距離を5m以内、20度以下の勾配で使用すること、強めの間伐と併用することが効果的であることが明らかにされた。また、架線系機械皆伐作業の場合には、全木集材などの作業方法が生産性が高いことが確認された。間伐作業の場合には、強間伐、集材距離78m以下、作業員数2名程度とすることが効果的であることと判断された。 3.ニューラルネットワークを用いたタワーヤーダの適正架線位置決定法を開発し作業への適用を試みた。また、実作業の調査、分析結果をもとに、架線長、架線数の変化による作業功程、作業経費の変動を推定した。その結果、ニューラルネットワークによる配置法では木寄距離、集材距離の減少による生産性の改善が認められた。また、タワーヤーダ架線の架設数を変化させて適正な索配置を求めた結果、架線長100〜150mの小区画に分割した作業方法が最も効率的であることが明らかにされた。 4.さらに、導入機械サイズに適合した路網(作業道網)密度を決定するための手法として、機械出力をパラメータとする路網密度式を作成した。研究では、過去の測定結果から100例のタワーヤーダ集材データを作成し、機械出力と作業功程の関係式作成を進めた。この結果、小型車両集材、小型架線集材ともに、最適密度は機械サイズの増加にともなって単調に減少する傾向を持つことが明らかにされた。また、機械出力が25から100PSに変化する間に必要路網密度が急激に減少する傾向が明らかになるなど、林内路網を設計するための目標値として有効に活用できることが明らかになった。
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