平成12年度の研究によって得られた知見・成果は、以下のとおりである。 1.平成11年度に続き、カエデ類などの広葉樹を寄生木とする各種穿孔性昆虫の基本生態を調査した(平成12年10月学会発表)。また、その結果を5地域(岩手、福井、愛知、三重、島根)の個体群で比較した。また、昨年度にクビナガキバチ類の一種において発見した、粘質物質の役割について検討した。 2.養菌性キクイムシ類の数種について、各穿孔樹種に形成された坑道および胞子貯蔵器官から共生菌の分離を行った。また、昨年度に開発した人工飼育による生育期間推定法を用いて、キクイムシ種間の比較を行い(平成12年3月学会発表)、有効積算温度と発育零点の算出にも成功した(平成13年4月学会発表予定)。 3.アベマキおよびコナラの堅果に穿孔する昆虫類の加害時期を野外操作実験によって解明し、その種間あるいは種内競争について群集生態学的に検討した(論文掲載)。また、堅果(雌繁殖器官)の生存過程に関する長期データを分析して、その変動主要因を検出した(平成12年4月学会発表)。 4.研究計画の最終年度として、とくに養菌性キクイムシ類の成果をまとめ、全体を総括した(図書出版および平成13年3月学会発表予定)。
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